3月のいつ頃だったか、職場仲間の依頼で要らなくなった小冊子や本を縛っていて目に留まった本が2冊あったのでそのうち読もうと思い家に持ち帰った。
『医師の見た六甲全山縦走』と『「ホスピス」という選択』の2冊だ。
今日は『「ホスピス」という選択』を紹介したい。
![middle_1146279221[1]](http://blog-imgs-21.fc2.com/c/l/i/climber319/20080328200936.jpg)
著者は野木裕子氏。
内容は、人生のターミナル(終末期)をテーマにホスピスへの著者の疑問をルポルタージュ形式でかかれている。
この中に登場する
六甲病院は私が32歳まで過した神戸市灘区の高台にあり回りを閑静な住宅地が広がっている。夜になればいわゆる百万ドルの夜景が一望できる。
人は必ず死ぬ、自分がどんな死に方をするのかは大抵の人は知らないだろうと思う。
長患いの末に死ぬのか、クモ膜下出血でポックリ死ぬか、車にはねられて死ぬかも知れない。
最期を迎える場所も、病院なのか家のベッドの上か。もしかすると路上や救急車の中で息を引き取るかも知れない。
この本では主に末期ガンの患者の終末をホスピス医療の緩和ケア病棟でおくった実話が紹介されている。
一組の夫婦、夫43歳、妻37歳。
1994年秋が深まったころ、夫が胃の痛みを訴える。が翌年1995年の阪神淡路大震災で胃の不調は何処かへ吹き飛んでいた。2月に入ってから37度の微熱が続くようになり3月下旬に兵庫医科大学付属病院で大がかりな検査を2度受けた結果膵臓ガンの末期だと判明する。医師は「…もう手の施しようのない状態なのです」と妻に告げる。そして妻は医師の反対を押し切り夫に病状を告げる。
そして終末期を迎える一つの手段として緩和ケア病棟のある六甲病院を選ぶ。
そして7月15日意識レベルが下がり始めた夫はほとんど眠っている状態だったが、夫の視線を背に感じた妻が振り向くと、夫は目を覚まして、まじまじと妻の後ろ姿を見ていたのだ。
その視線を受け止め妻は思わず「私と結婚してよかった?」と聞いた。すると夫は顔をくしゃくしゃにして笑い、「すーごく、楽しかった」と言った。妻はその言葉が過去形だと気づいた瞬間、妻は空気が激しくねじれたような感覚を持った。そして(ほんとうにもう、お別れなんや)
そして夫は再び眠りに落ち二度と目を開かなった。1995年7月17日のことである。
葬儀後に友人や知人の「辛かっただろう」との問いかけに、「私の場合は、満腹感でお別れできたという感じ」と聞かれるたびに答えた。見栄でも強がりでもない。あの2ヶ月間は、千年もの時間が凝縮したような濃密な<とき>だった。
私はこの本に巡り合えた幸運を私に整理を依頼してくれた職場仲間に感謝したい。
そして出来れば多くの方に読んで欲しいと強く思う。