「がばい」とは「すごい」と言う意味で、漫才コンビB&Bの島田洋七氏が少年時代を佐賀県に住む祖母との貧乏暮らしの様子を書いたものです。同世代を生きた者として、うんうんと頷きながら読んでいます。

プロローグ
ある夕ご飯の席のことだった。
「ばあちゃん、この二、三日ご飯ばっかりでおかずがないね」
俺がそう言うと、ばあちゃんはアハハハハハハハ……と笑いながら、
「明日は、ご飯もないよ」
と答えた。
俺とばあちゃんは、顔を見合わせると、また大笑いした。
今から四十年ほど前の話である。
思えば、あれから世の中は急変した。
所得倍増計画、高度経済成長、大学紛争、オイルショック、地価上昇、校内暴力、円高・ドル安、バブル、そしてバブルの崩壊、価格破壊、就職氷河期……。
「今、世の中はひどい不景気だ」とみんなは言うけれど、何のことはない。
昔に戻っただけだと、俺は思う。
変わってしまったのは、人間の方だ。
お金が」ないから。
ホテルで食事ができないから。
海外旅行に行けないから。
ブランド物が買えないから。……そんなことで不幸だと思ってしまうなんて、どうかしている。
中略
今、みんなはとてつもない勘違いをしているんじゃないだろうか。
四十年前までには確かにあった幸せを放棄して、不幸な方、不幸な方へと進んでいる気がする。
みんな、道を間違うな!
佐賀の、がばい(すごい)ばあちゃんの話を聞いてくれ!!
幸せは、お金が決めるものじゃない。
自分自身の、心のあり方で決まるんだ。
この本が書かれたのは2001年なので、文中での四十年前は今から言えば四十六年前になる。その時の私は十才で小学校四年生である。私の家も貧乏だった、というか日本の殆どの家が貧乏だったと思う。冷蔵庫や洗濯機、掃除機などは夢の製品だった。車なんて持っている家なんて皆無に等しかった。しかし今の世には無い他人への思いやりがあった。近所付き合いがあった、近所の内部事情は大概把握していた。それに大人は恐かった。古き良き時代やったと感慨に耽っていてはあかんとは思うのやけど…