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マメオ

Author:マメオ
Mr ビーンズことマメオです。
1951年1月3日生 ♂
出生地:高知県内
現住所:神戸市内
家族:女房一人、息子二人、嫁二人、孫四人、その他昆虫、爬虫類等多数
趣味:クライミング、家の掃除など
収入:少々


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以前電車やバスの車内で化粧をしたり物を食べる女性がいて不快だという記事を書いたが、この程読み終えた浅田次郎氏のエッセイ「アイム・ファイン!」に同じような内容のエッセイがあったので紹介します。
全文書くと長くなるので一部のみに止めます。それでも長いですが…
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直木賞作家の浅田氏は移動手段として電車や地下鉄を使いたいのだが、車内で面が割れるともの凄く恥ずかしいので、やむなくお迎えの車を頼んだり、マイカーを使用したりする。けっして根性まで贅沢になったわけではない。そんな浅田氏が横浜の講演会場に向かうため、久しぶりに電車に乗った。そんな車内で…

私の前に、娘と同じ年ごろとおぼしき女性が座るやいなや、あろうことかコンビニのレジ袋を開いて、突然飲み食いを始めたのである。
わが目を疑った。空腹のあまりまぼろしを見ているのではないかと思ったが、そうではなかった。サンドイッチを頬被り、ペットボトルのミネラルウォーターを牛飲し、あたかも車中に人なきがごときの食いっぷり飲みっぷりである。
いや、人目あるなしではなかろう。餓死寸前のおやじだって東横線の車内で飯を食おうとは思わぬ。
なおふしぎなことは、周囲の人々がべつだん気に留めるでもなく、平然としているのである。のみならず中目黒駅から乗りこんできたやはり妙齢の美女が、私の隣でドーナツを食い始めたのであった。実に不快である。世の中の急激な欧米化はもとより承知のうえであるけれど、パリでもニューヨークでもここまであからさまな行動は、許されるものではあるまい。
相手がどちらか一人であったのなら、説教癖のある私は文句をつけたであろう。しかし二人となれば話は別である。つまりこうした行為は特定の一個人が不見識なのではなく、私が浮世ばなれしている間にそうした風潮が出現したということになる。ほかの乗客がほとんど意に介さぬのだから、あえて咎めるべくもない自然の行為として、彼女らは車中で飲み食いしているのである。
さように思い至ると、怒りは萎えすぼんでしまった。二人の女性はなにごともなく食事をおえ、食べがらのゴミだけはきちんとバックに収って、それぞれに電車を降りた。
横浜に到着するまで、私は空腹も忘れて考えた。人は腹が減れば物を食わねばならぬ。しかしその本能についての恥じらいを抱いてこその人間ではあるまいか。移動中の車内で食事をするのは合理的だと考えられているのだろうが、礼を失した合理性ほど不合理な行いはあるまい。社会の規範が法律だけになってしまえば、人間は心なき機械と同じである。どうやら「恥を知る」という日本人の道徳は死語となりつつあるらしい。狭い土地に多くの人々が暮らすために、二千年の時を経て醸成されたこの第一等の心構えが、私たちの時代に崩壊しようとしている。人前でいざ物を食らわんとするとき、父祖の誰もが抱いていた廉恥の覚悟が失われてゆく。
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