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マメオ

Author:マメオ
Mr ビーンズことマメオです。
1951年1月3日生 ♂
出生地:高知県内
現住所:神戸市内
家族:女房一人、息子二人、嫁二人、孫四人、その他昆虫、爬虫類等多数
趣味:クライミング、家の掃除など
収入:少々


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幸福の条件

大庭丈太郎のことを、人は幸せな男だという。

まず第一に彼には古いが百坪ほどの土地つきの家がある。
東京の地価がまだうんと安い頃に地主に頼まれて特に安値で買ったものだが、それが今は何十倍という値段になっていると世間は騒いでいる。

十年前、その庭の西寄りに長男の謙一夫婦と孫のための家を建てた。生活は別であるが、縁側に立って呼べばすぐに答えが返ってくるという距離である。

この二月、丈太郎は七十二歳の誕生日を家族に祝われた。その時の写真がパネルに作られて茶の間に懸かっている。丈太郎と妻の信子を真ん中に謙一夫婦、孫の吉見。長女の珠子と銀行員の夫である秋野満と二人の子供。名古屋で小学校の教師をしている次男の康二も駆けつけてきて、一族全員が笑顔を作っている。そのパネルも人の目には幸福の象徴に見えるだろう。
今、人が「幸福な老人」というのは、老後を息子や孫とひとつ囲いの中で暮らせるということを指しているのである。しかも丈太郎は息子の厄介になっているわけではでなく、「息子一家を住まわせてやっている」という優位な立場にある。そのことだけでもたいした幸福だと人はいう。



これはこの小説の冒頭部分だ。ここを読んで即座に若干設定の違いはあるものの私の今の立場に似ていると思った。

私も友人や知人から「マメオさんは幸福者やなぁ~」とよくいわれる。
いわれる度に内心『そんなことはないと否定する』そして「そうかなぁ~」と惚ける。

小説はその後、丈太郎は妻から離婚を切り出され、長男夫婦は長男の浮気から離婚することになる。
そして丈太郎は岩手県の花巻の奥にある過疎の村で寺子屋を開くため家を出ることになる。

「わしはこれで…、目的を持ったことでむしろ元気が出たよ。人間、生きてる限り、何かかにか問題が起きるものだ。人は死ぬまで何かと戦わなくちゃならん。どうせ戦うなら退屈と戦うよりは苦労と戦った方がいい。頑固に生きてきたからには頑固を貫こう。そう思ったんだ。」

私がこの小説で一番感銘を受けた箇所だ。

私は今、給料を貰いながら退屈と格闘している。私は高校出てから五回転職したが、これぞ天職といえる職種に携わったことがない。しかしどんな嫌な仕事も精一杯取り組んできたつもりだ。

昨年定年退職し、第二の人生は趣味と実益を兼ねたところに移住したかったが、長年連れ添った女房を苦しめるので止めた。
なので小説の丈太郎が羨ましく思った。

しかし未だ夢は捨ててはいない。六十五歳で二度目の退職をしたら……密かに夢をふくらませている。

あと三年だ。
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