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マメオ

Author:マメオ
Mr ビーンズことマメオです。
1951年1月3日生 ♂
出生地:高知県内
現住所:神戸市内
家族:女房一人、息子二人、嫁二人、孫四人、その他昆虫、爬虫類等多数
趣味:クライミング、家の掃除など
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先月号に引き続き大岩あき子さんの《安全にクライミングをするために―アウトドア編―》を紹介します。
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今月号は「アウトドアクライミングの危険性と岩場での事故例」です。

アウトドアクライミングの危険性
岩場でのクライミングでは、ルート開拓をするのでない限り、事前に設定されたルートを登ることになる。その方法は大きく分けると、トップロープ、リード、フォロー、のどれかになるだろう。
アウトドアの経験がない初心者同士が初めて岩場に行く場合は、いきなりのリードは危険である。まずは、登りたいルートにロープを張って、トップロープで登るようにしたい。トップロープの注意点を以下にあげる。


1.トップロープクライミング

トップロープの支点

自然のものを使う場合

日本の場合、ルートの上に生えている木を使うケースが多い。最低でも直径30cm以上ある木を使うこと。しっかり根が張っていて、ゆすってもぐらぐらしないものを選ぶ。それ以下の細い木の場合は複数本使うこと。
・スリングを巻く場所は、なるべく根元の太い部分に巻く。ロープの擦れを防ぐためか上のほうの枝を使う場合は、必ず根元の部分からもバックアップを取ること。
・複数の木を使う場合には、長さを調整して均等に荷重がかかるようにする。
・メインロープが岩に擦れる場合は、スリングを長くしてロープが擦れないように、カラビナを傾斜面の下に出すようにしよう。


人工物(ボルトやラッペルステーション)を使う場合
まず、ボルトの強度を確認する。ボルトの種類は、溶剤を使って固めるケミカルボルトと中で広がって強度を出す拡張ボルトに分けられるが、拡張ボルトの中でも古いタイプのリングボルトやRCCボルトの場合は、岩の中に入っている長さが短いため、しっかり根元まで埋め込まれていないと危険である。
・ボルトがスリングで連結されている場合でも、残置スリングは使わず、直接ボルトから支点を取ること。
・グラグラしているボルトを引っ張ったら抜けてしまったという話も聞くので、新しいボルトでもしっかり設置されているかを必ず確認したい。
・トップロープの支点はそれがすべてとなるので、必ず複数の支点から複数のスリング、2枚以上の安全環付カラビナを使ってセットすることは鉄則だ。


補足(残置カラビナ)
トップロープをセットする時は、残置されたカラビナを使わないこと。安全面だけでなく、同じルートや隣のルートをリードした人がその支点を使って下降するための残置カラビナである。フリークライミングのエリアでは、持って帰ったりしないでほしい。

トップロープセットでの事故例

トップロープをセットするために、岩の裏側から歩いてトップへ行き、セットした支点でラペル(懸垂下降)したところ、そのまま地面まで墜落、死亡した例がある。
原因は、ロープをセットする時に使ったロープスリングの結び目が結ばれていなかったこと。友人から借りた用具だったため、結び目が中途半端だったことに気がつかなかったと思われる。


2.リードクライミング

ボルト位置とグレード


とにかく危険な要素が多いので、初めてアウトドアでリードクライミングをおこなう場合は経験者について行くようにしたい。
ジムとの大きな違いは、ボルトの間隔である。1本目のボルトが地面から3~4mの所に打ってあるのは普通のことだ。当然そこまではフリーソロ状態。クリップ前に落ちればグランドフォールし、大けがをしてしまう可能性もある。また、1本目のボルトが低い位置の場合は、2~3本目のクリップ前に落ちれば危険な状態であることも認識しておこう。
岩場のルートにはグレードが付けられているが、ボルト間隔とグレードは大きく関連している。易しいグレードの場合でも難しいグレードの場合でも、そのグレードが登れるレベルであることを基準にボルトの位置が決められることが多いからだ。難しい箇所(落ちそうなところ)にはボルトが打ってあるが、易しい箇所(落ちないだろうところ)にはボルトはない。つまり、自分の能力に応じたルートにトライしていれば、それほど危険な目に会うことは少ないが、自分の実力以上のルートに取り付けば危険度は高くなる。エリアによってもグレードは若干違うので、行った岩場が初めてである場合は、そこの岩場のグレードを把握し、自分のレベルと照らし合わせてルートを選びトライしよう。ボルト間隔が短いルートこそ、いきなり難しいという場合もあるので気をつけたい。


ボルトの強度
トップロープの章でも触れたが、ボルトの種類だけでなく、設置された年代や設置方法によってボルトの強度には差がある。どんなボルトが打たれているのか?さびていないか?ハンガータイプの場合は、ハンガーを止めているビスに緩みがないか?など登る前に、または登りながら確認しよう。クライミングは自己責任のスポーツである。ボルトの知識を得ることもアウトドアクライミングの基本と考えて、しっかり知識を持っておきたい。

ボルトルートでの事故例

●リードクライミング中、2本目のボルトでテンションをかけた途端に、ハンガーからカラビナが外れる事故がおきた。クライマーは取り付きより下部の岩にグランドフォール。後日死亡した。
原因は、テンションをかけた時にカラビナが回転していて、ゲートが開いた状態で荷重がかかり、ハンガーから外れたのではないかとみられている(過去にも同じ状況での事故報告がある)。

●クイックドローにクリップしながらクライミングしていたが、落ちた時に突然ハンガーが外れ、大きく振られて岩に激突。腰を打撲した。
原因は、クイックドローがかかっていたため、ハンガーが緩んでいることに気がつかず登っていた。チェックを怠ったミス。

●クライミング終了後、支点でのロープ結び変えを間違って墜落した。死亡。
原因は、ロープワークを熟知していなかったこと。

●ボルト3本目でフォールした際、ハング下のボルトが抜けた。落ちた距離は長かったがけがはなかった。古いボルトで、引き抜き方向に強い力がかかったため抜けたと思われる。この場合は長いクイックドローを使ってロープの屈曲を小さくすることが必要。その後ボルトがリボルトされ安全性は高くなった。


3.ナチュラルプロテクションルート

クラックをリードクライミングするためには、確実なプロテクションのセットを習得することが必要になる。事故の原因は、そのほとんどがセットミスまたはランナーアウト後の大フォールである。初心者は、経験者のフォローをたくさんやって、プロテクションのセットを学ぶようにしよう。
また、ジャミング技術の必要なルートでは、トップロープを使って安全な状態でジャミングの練習と共にプロテクションのセット練習をすることも必要。
リードに臨む時は、確実に登れるグレードから始めるようにしたい。


ナチュラルプロテクションルートの事故例

●グレードは易しいが、プロテクションがセットしにくいクラックルートをリード中に終了点間際でフォール、プロテクションが数個外れグランドフォール。死亡。
●クラックルートのリード中にフォール。プロテクションが2個外れ、その下のカムからカラビナが外れ、上部で落ちたにもかかわらずビレイヤーのいる岩の傍らの枯れ木に激突。軽傷打撲。カラビナが外れた原因は不明。
●クラックルートでフォール、セットしたカムがすべて外れグランドフォール。死亡。カムのセット方法を知らずに登っていたのではないかと思われる。


4.その他

人為的ミスによる事故例

●ロープの結び忘れ、結び間違いによる墜落。死亡事故と大けが(数件)
●ビレイヤーがビレイするロープを間違え、クライマーがグランドフォール。大けが。
●ルートの途中で天候が悪化し、ギヤの回収中にロープ操作を間違えて墜落。死亡。
●30mのルートを50mロープでクライミング後にロワーダウン、確保器からロープの末端が抜けグランドフォール。大けが。


起こりやすい危険な事例

●ビレイヤーによるビレイミス
●ハーネスのバックルの折り返し止め忘れ
●コールの聞き違いによるビレイ解除


用具の損傷による危険な事例

ボルトだけでなくクライミング用具全般にいえることだが、道具を過信しないようにしよう。カラビナが壊れたり、カラビナからロープが外れたり、スリングが切れたりする可能性はあり、実際に多くの事例が報告されている。大きな事故にはならなかった場合が多いが、注意してしすぎることはない。
●テンションしたカラビナが割れロングフォール。軽傷。
●落ちた時にロープの外皮が裂け、5mほど芯が露出。即座の対応で無事。
●ルートに長期間かけてあったクイックドローのスリング部分が岩に擦れ、切れかかっているのを発見。交換した。
●終了点に下降用として残置されているカラビナが、長年の使用で半分削れて細いまま使用されていた。もちろんすぐに交換。
多くの人はこのような危険に対して無知である。自分の命は自分で守る気構えがなければアウトドアクライミングを安全に楽しむことはできない。管理された場所ではないことをしっかり理解して臨もう。残置されている古いスリングやカラビナは、積極的に取り替えよう。


自然に起因する事故例

●リードクライミング中、手で触った岩が突然剥離。握ろうとしたが止められず、落石。フォールしたクライマーはビレイヤーが止めたが、その岩がビレイヤーを直撃した。片足骨折ですんだのは不幸中の幸いだったかもしれない。
●リードクライミング中、横方向に引いたノブホールドが剥がれ岩と共にフォール。テンションが入ったクライマーの頭にその岩が当たって流血。幸い頭に大きな損傷はなかった。ビレイヤーや下にいた人にも当たらず無事。
アウトドアクライミングは自然の中の遊びなので、さまざまな危険が待ち受けている。雷や突風などの天候の急変もある。濡れた岩はスリップしやすくなることや、湿気の多い時はホールディングも悪くなる。雨の中、無理にギヤの回収をしようとして事故を起こした例もある。また、ハチに刺されたり、ヘビにかまれそうになったり、サルの群れに囲まれたり……
持っている岩が割れたり欠けたりするのも不可抗力=運なのかもしれないが、いつ自分が危険な目にあったとしてもそれが最小限にとどめられるよう、注意してクライミングに臨むようにしたい。
けがをした時のファーストエイドや人工呼吸法、行くエリアに一番近い病院の場所。また、携帯電話の電波状況やSOSを発信する場合には、今自分がどこにいて目印になるものが近くにあるかどうか、そこに救急隊がくるためのアプローチはどうなっているか?などは常に把握しておきたい。
一緒に登るパートナーの氏名、住所、緊急連絡先、持病があるかどうかなども情報としてお互いに知らせておくようにしよう。
アプローチでのけがも多く報告されている。気が緩んだ時に起こる事故もある。時間的にも体力的にも余裕を持った行動ができるようにしておこう。
最近起きた重大事故の多くが頭部の損傷によるもので、ヘルメットを被っていたら助かっていたかもしれないという事例もあると思う。
ヘルメット自体の軽量化や機能性の向上により、以前よりもヘルメットを被ることへの違和感も少なくなった。危険を回避するための一つの道具として考えてもらいたい。



私自身も今までのアウトドアクライミングを振り返ってヒヤッとすること幾知れない経験をしてきたが大きな怪我無く現在まで来られたのは運が良かったのだろう。
そして多くの友人や知人がアウトドアクライミングで大怪我をされたり亡なったりされた。
その事故の大半がうっかりミスから起こっている、後から考えれば防ぎ得たと思われる原因だけに残念でならない。
気心の知れた仲間とのアウトドアクライミングは非常に楽しい、が、いざ岩に取り付こうと決めたら命をかけた真剣勝負との気構えで臨む。けっして大袈裟ではないと思う。

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