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マメオ

Author:マメオ
Mr ビーンズことマメオです。
1951年1月3日生 ♂
出生地:高知県内
現住所:神戸市内
家族:女房一人、息子二人、嫁二人、孫四人、その他昆虫、爬虫類等多数
趣味:クライミング、家の掃除など
収入:少々


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7日神戸新聞夕刊の5ページに「日本遠望」という題で世界で活躍する日本人のことが時たま載る。
いつも興味深く読んでいるが今日の記事は特に面白かった。
少し長いですが全文紹介します。

薄汚れた地下鉄構内を秋風が吹きぬける。ロンドンの繁華街、サウスケンジントンに夜が迫っていた。それぞれの目的地へ急ぐ大都会の人波。通路に響くクラシックギターの調べが、風の冷たさを心持ち和らげていた。
「ママー!」。英国のロックバンド、クイーンの名曲「ボヘミアン・ラプソディ」の一フレーズを、聞こえてくるギターに合わせて口ずさみながら、中年男が改札へ向かう。逆方向から六歳ほどの娘と歩いてきた女性は、立ち止まると娘に小銭を握らせた。「あの人に渡してね」。視線の先では、土門秀明(四三)が折り畳みいすに座り、黙々とギターを弾いていた。
土門のように駅構内で活動するミュージシャンはバスカー、演奏はバスキングと呼ばれる。彼らが奏でるメロディーは、入り組んだ壁に増幅され、退屈な地下通路を巨大な楽器に変える。
ビートルズなどオールディーズを一時間演奏すると、ギターケースに約八ポンド(約千五百円)のチップが集まった。普段は二時間で数十ポンド稼ぐが、人通りが減ったためこの日は早じまい。「稼がせてくれてありがとう」という思いを込め、がらんとした通路に一礼した。
土門は五年間、ほぼ毎日どこかの駅で演奏し、チップで生計を立てている。この日の仕事場、サウスケンジントン駅のマクレガー駅長は「(バスカーは)われわれの生活の質と環境を向上させている。駅にとって、いいことだよ」と話す。

■イエスタデイ■
山形県酒田市で生まれ育った。ベイ・シティ・ローラーズや矢沢永吉をコピーし、文化祭などで演奏するギター少年だった。高校卒業後、バンドを率いて活躍する夢を胸に上京。人気デュオ、バブルガム・ブラザーズのバックバンドのギターリストとして数年間活躍したが「自分のバンド」という初志を貫こうと、二十五歳のころ独立。しかし長続きせず、やがて広告代理店の社員に。社長に次ぐ地位に昇進したが、社内での金銭トラブルなどに嫌気が差し、退社。趣味で集めた約三十本のギターを売って金を作り、二〇〇一年、ビートルズなどを輩出したあこがれの英国に移る。三十七歳だった。
二年後の〇三年秋、音楽仲間に誘われ、ロンドン地下鉄でのバスキングのライセンスを得るためのオーディションを受けた。友人の演歌歌手との急造ユニットで北島三郎の「与作」を披露し合格、土門は英国初の当局公認、日本人バスカーとなった。
英国人の前でビートルズを弾くことに、最初はためらいもあった。だが現実には、ビートルズのイエスタデイともう一曲しかバスキングのレパートリーがなく「駅員に、たまには違う曲もやってと言われた」。
今、レパートリーは約三十曲。朝はさわやかに「ユア・ソング」(エルトンジョン)、雨なら「虹の彼方に」(映画「オズの魔法使」劇中歌)。街のリズムや空気に合わせ、土門は音をこと紡ぐ。

■同時テロ■
〇五年七月七日朝。ロンドンの空気が激しく震えた。五十二人の犠牲者を出した地下鉄同時爆弾テロが起きたのだ。大半の路線は翌日再開。土門が演奏の可否を電話で関係先に恐る恐る問うと、受話器の向うの女性に「今こそバスカーの出番。頑張って地下鉄を明るくして」と気合を入れられた。乗客が激減した駅は、こわばった顔が行き交っていた。
「今日はチップは受け取らない。あなたのために歌う」
別のバスカーから引き継いだ紙片を掲げ、土門は二時間「虹の彼方に」などメロディーが美しいスローな曲を、魂を込めて繰り返した。土門が演奏を終えて引き揚げる時、その紙片はまた、別のバスカーに。「バスカー同士が戦友のように思えた」。近くの駅では遺体収容が続いていた。
今年ロンドンを金融危機が直撃。景気も後退し、チップは減り気味だという。
日本でも最近はストリートミュージシャンの若者の姿が目立つが、彼らとバスカーは違うというのが土門の持論だ。「彼らには『おれの曲を聴け』という雰囲気があるが、ここでそれをやったら耳をふさがれる。ぼくらは脇役、通行人が主役。出会いの一瞬に、気持ち良く感じてもらえないと」
吹き込む寒風に指が凍える冬。酔っぱらいに絡まれたり、不良少年に稼いだ金を奪われたりしたことは一度や二度ではない。しかし、冷えた指をさすってくれるダウン症の子がいる。金を奪われる一部始終を見ていたインド系の紳士が、大枚をはずんでくれたことも。
目が見えず体も不自由なため、苦労して壁伝いににじり寄ってきた老人から「なかなかいいね」と渡されたチップの〝重み〟に、心が震えた。「売れっ子だけでなく、さまざまなミュージシャンを生かし、敬意を払うロンドンの街はすごい」
大都会を癒やすバスカーは、いつしか街の優しさに癒やされていた。「人に優しく生きていこう」。自分の曲を世界に発信する夢を抱きつつ、土門はこう思っている。
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バスカー
「大道芸をする」という意味の英語の動詞「バスク」から派生して、路上や飲食店などで音楽や芸能を披露しチップを稼ぐ人々をバスカーと呼ぶ。ロンドン地下鉄では、かつて当局が黙認する形でだれでも活動できたが、2003年からライセンス制となり約400人がライセンスを持つ。ギター、バイオリン、クラリネットなど楽器はさまざま。バスカー出身の大物ミュージシャンも少なくない。
コメント

はじめまして。

記事紹介してくれてどうもありがとう!
しかも、わざわざテキストにおこしていただいて…さすがは「Mr ビーンズことマメオ」さんですね(笑)。僭越ながら、ロンドン地下鉄での生活を綴った拙著「地下鉄のギタリスト -Busking In London」も出版されていますので、宜しくお願い致します。m(_ _)m

ご本人からのコメントに驚きました!
「虹の彼方に」はたぶん一番好きな曲です。

バスカーってライセンス制なんですね。
素晴らしいお話を教えてくださってありがとうございます。

ええーーーっ!

>土門さん
コメントありがとうございますm(_ _)m
ご本人からまさかコメントいただけるなんて感激です。
「地下鉄のギタリスト -Busking In London」早速読ませていただきます。


なさけ

いつもええ情報ありがとう。ほんものの情報とは(情)なさけのあるものですね。バスカーの生き様に今後の勇気をいただきました。

>KONO嫁様
Over The Rainbowほんといいですねぇ

>MORI様
コメントありがとうございます。
『大都会を癒やすバスカーは、いつしか街の優しさに癒やされていた。「人に優しく生きていこう」。自分の曲を世界に発信する夢を抱きつつ』
人情ですねぇ…少し前の日本には満ち溢れていたように思うのですが…最近あまり見かけませんねぇ…

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